2005,8/12
Frontaliniのリードをクリーニング
長らく見合わせていたFrontaliniの修復を再開したいと思います。
この楽器が我が家に来た時は、とりあえず部屋に飾って眺めてみたり、カステッロを外して口で吹いて喜んでみたりと(健気だ・・・)
こんな感じで色々と遊んでいたのですが、そんなおままごとみたいなことをしているだけでも、なんとな〜く慣れ親しんでくるものですね。
ようやくカステッロからリードを外すことを考えても怖くない余裕ができてきたので、ついにリードのクリーニングをしたいと思います。
僕は、昔から欲しくて欲しくてしょうがなかった物を買うと、手にとってすぐ不注意で壊してしまう事が多かったんです。(^^;
分析してみると、優しく持とうとするあまり「スルッ!」と手を滑らせてしまうか、
梱包を解くべきじゃないところで中を開いて、硬いコンクリートに「ポロッ」と落とすかのどちらかのパターン(泣)
手に入れたばかりの物を、ほんのちょっとのミスで壊してしまう落胆はすごい!
つまりなんと言うか・・・
今でもそんなことを立て続けにやってしまうので、慣れない物を取り扱う時はうれしくてドキドキ(犬だったらうれション?)するのが治まるまで眺めることにしています。
逃げてかないし、直に触るより見ている方がよりうれしいこともあるし(笑)
そういえば、オークションでこの楽器を手に入れた時の喜びと、手元に届いた時の落胆の落差はすごい物がありました。
最初は、相当いっぱいかなり悲惨に泣きが入ってましたが、思えばこの楽器を通して人生が変わるような素晴らしい出会いがありました。
趣味と仕事と実益を兼ねて、イタリアやヨーロッパが身近になったことも喜ばしいことですし、
なんと言っても見ればみるほど暖かい丁寧な作りは、作品作りを仕事にする僕にとっても、大きな影響を与えてくれています。
言ってみれば我が家の天使みたいなものです。
が!
この修復記をごらんいただいても分かると思いますが、ここまで痛んだアコーディオンを自分で修復するのはとても難儀なことです。
年式が古ければ古いぼど「逆止弁やリード線」「蛇腹」も状態が悪くなり、交換する必要性も出てきます。
(空気中には湿気もあるので、皮は硬くなり金属は錆びることはいたって自然なことです。)
もちろん、パーツを買うお金と修理する時間と根気と粘り強さと愛情があれば大抵は直せると思いますが、
初めて手に入れる方は、アフターフォローができるようなアコーディオンを愛して知り尽くしている人とかノウハウがあるお店から直接購入することを強くお勧めします。
とまあ、おしゃべりはとりあえずさておき(^^;修復しよ
まずは、毎度のように、どこがどうなっているかよく観察!
それにしても、キレイに蜜蝋が塗ってある。
この感じを覚えておこう。


さて、今回用意したのが、ふすまの「鋲抜き」
リードをカステッロに取り付けた後に小さい鋲が打ち込んであるので、それを抜く道具として使いました。
深く打ってあってうまく抜けないものは「スプリングはずし」の先などを使ってうまく浮かせることもありますが、
大抵の場合はこれで抜くことができました。
重宝!
重宝!

固まっている蜜蝋は鋲抜きの「握り」がくぎ抜きとノミのようになっているので、ノミの方を使って静かにこねくりながらリードを外したんですが、
こんな感じで剥がしたけど、もっと違う方法があるかもしれません。
これは下手すると勢いあまってカステッロやリードを破損してしまう可能性があります。
そういえば、リードを1個だけ交換する時は、コテを使って暖めながら取ると聞いた事があるので、それも試してみよう。
外したらカステッロとリードに番号をふってゆきます。
リードにマジックで書けないので、先の尖ったヤスリで数字を刻みます。


すべて取り外したらカステッロのお掃除。
余分な蜜蝋はヘラなどで削ります。カステッロ本体を傷つけないようにきをつけなきゃ。

やっとここまできた・・・ついにリードを灯油に漬けて汚れ取りの段階です。
僕は間に合わせに「お菓子の蓋」でやってみたんですが、これが具合悪い・・・・
持ち方によってはその蓋が「パコン!」と言って折角並べたリードが跳ね上がって配列は分からなくなるし柔らかい金属なのでねじれる。
ねじれると言うことは、灯油を入れてからもこぼれやすいので持ち運びが難儀。
そんなわけでリードを石油に漬けるパンは、なるべく大きくて深いくてある程度の剛性を持ったものをお勧めします。(お菓子の蓋でもできないことはないけど・・・)
BASS側のリードもこんな感じでキレイに外します。

そして、カステッロに付いた蜜蝋をヘラなどで慎重に取り除いた後も、細かいゴミはハケでキレイに掃除細かいのが残っていると、後々大きな障害になります。

しかしこの楽器はつくづく奥が深い。
パーツとパーツが線を引いたようにピッタリかみ合わないとうまく動いてくれない気がします。
時計や手回しオルガンなどメカニカル物全部そうだと思いますが、こういった物を作る技術は大概、職人さんの手から手へ引き継がれてきたものです。
もうそれだけで感動してしまう。
ロマンに支えられて、憧れにすら発展しそうな趣を感じます。
やっと、リードの分解が終わりました。ついに次から直す作業に入ります。
海外から購入した物の出番です。
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